原発性多汗症

原発性多汗症(特発性)は、特に明確な原因がなく、身体が必要以上に多くの汗をかく状態を指します。このタイプの多汗症は遺伝的な要因が影響していると考えられており、身体的な病気や障害が直接的な原因ではありません。

特徴

原発性多汗症の特徴として、以下のような点が挙げられます:

  1. 局所的な発汗

    • 手のひら足の裏脇の下(腋下)などに過剰な発汗が見られます。
    • 汗をかく部位は限られており、全身ではなく局所的に発生します。
  2. 発汗のタイミング

    • 特に緊張ストレス運動などが引き金となることが多いです。
    • 寝ている時やリラックスしている時には汗をかきにくいことが多いですが、日常的に過剰に汗をかくことが特徴です。
  3. 発汗量の過剰

    • 通常の生活で不快に感じるほどの発汗量があり、衣服が湿ったり、手がべたついたりすることがあります。
    • 対策をしても症状が改善しないことが多く、社会生活に支障をきたす場合もあります。
  4. 発汗の部位

    • 主に手のひら、足の裏、脇の下に見られることが多いですが、顔や頭皮、背中などに現れることもあります。

原因

原発性多汗症の原因ははっきりしていませんが、以下の要因が関与しているとされています:

  1. 遺伝的要因

    • 特発性(原発性)多汗症は、遺伝的な要因が強く関与していると考えられています。家族に同じ症状を持つ人が多い場合、発症しやすくなる傾向があります。
  2. 神経系の異常

    • 発汗を調節する交感神経系に異常があると、過剰に発汗が引き起こされることがあります。交感神経が過敏になっていると、特にストレスや緊張の際に汗腺を過剰に刺激してしまうことがあります。
  3. ホルモンバランス

    • 思春期や更年期のホルモンバランスの変化が、発汗に影響を与えることがあります。

診断

原発性多汗症の診断は、主に臨床的評価によって行われます。医師は、症状の詳細な経過や発汗の部位、過去の病歴などを確認し、他の病気や原因がないことを確認します。場合によっては、発汗試験汗量の測定を行うこともあります。

治療法

原発性多汗症の治療方法にはさまざまな選択肢がありますが、症状の程度や患者さんの生活スタイルに応じて適切な治療法が選ばれます。

  1. デオドラント(抗汗スプレー)

    • アルミニウム塩を含む制汗剤やスプレーは、汗腺を一時的に閉じる効果があります。
  2. ボトックス注射

    • ボツリヌス毒素(ボトックス)は、神経伝達物質をブロックすることで汗腺の活動を抑えることができます。特に脇の下手のひらへの注射が有効です。
  3. 薬物療法

    • 抗コリン薬など、発汗を抑制する薬が処方されることがあります。副作用として口の渇きや視力のぼやけなどが現れることがあります。
  4. イオンフォレシス治療

    • 微弱な電流を使って汗腺を一時的に閉じる治療法で、特に手のひら足の裏に効果的です。
  5. 外科的治療

    • 交感神経切除術(ETS手術)という手術が行われることもあります。これは、過剰に発汗する部分の神経を切断して発汗を抑える手術です。成功率は高いものの、リスクも伴うため、最終手段として考慮されます。

生活への影響

原発性多汗症は、日常生活や社会生活に大きな影響を与えることがあります。特に、手のひらが湿っていると、書類を持ったり、電話を使ったり、握手をしたりするのが難しくなることがあります。また、脇の下や足の裏に汗をかくことが気になる場合もあります。心理的なストレスや不安が増すこともあります。

結論

原発性多汗症は、生活に支障をきたすことが多い状態ですが、治療法や対策を取ることで症状の改善が期待できます。もし自分自身に多汗症の兆候がある場合、早めに医師に相談することをお勧めします。

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