プリル
「-pril」は、ACE阻害薬（ACEI: Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors）に共通する命名接尾語で、主に高血圧や心不全の治療に使われる薬剤群を示します。
「-pril」とは？
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 接尾語（サフィックス） | -pril |
| 薬理分類 | ACE阻害薬（アンジオテンシン変換酵素阻害薬） |
| 標的 | アンジオテンシン変換酵素（ACE） |
| 作用 | アンジオテンシンIからIIへの変換を抑制し、血管収縮とアルドステロン分泌を抑える |
| 適応症 | 高血圧、心不全、糖尿病性腎症、心筋梗塞後の予後改善など |
主な「-pril」薬剤
| 一般名（INN） | 商品名（日本） | 特徴 |
|---|---|---|
| エナラプリル（Enalapril） | レニベース | 古典的ACEI、腎保護作用あり |
| リシノプリル（Lisinopril） | ゼストリル | 活性型のまま作用（プロドラッグでない） |
| カプトプリル（Captopril） | カプトリル | 短時間作用、最初のACEI |
| イミダプリル（Imidapril） | タナトリル | 日本発、持続型 |
| ペリンドプリル（Perindopril） | コバシル | 心血管保護作用に注目 |
| ラミプリル（Ramipril） | トリアセプト | 長時間作用、海外でよく使われる |
作用機序（簡略）
- アンジオテンシン変換酵素（ACE）は、アンジオテンシンI → アンジオテンシンIIへの変換に関与
- アンジオテンシンIIは血管収縮やアルドステロン分泌を促進する → 血圧上昇
- ACE阻害薬はこの酵素を阻害し、アンジオテンシンII生成を抑制
- 結果として、血管拡張・ナトリウム排泄・血圧低下・心不全改善・腎保護 などの作用が得られる
- ブラジキニン（血管拡張物質）の分解も抑えられるため、**空咳（副作用）**が起こることも
ARB（-sartan）との違い
| 項目 | ACE阻害薬（-pril） | ARB（-sartan） |
|---|---|---|
| 標的 | ACE（酵素） | AT₁受容体 |
| ブラジキニン分解 | 阻害する → 空咳あり | 影響なし → 空咳少ない |
| 副作用 | 空咳、低血圧、腎機能悪化、血管浮腫 | ほぼ同様だが空咳少ない |
| 心血管保護 | 高いエビデンスあり | 同様にあるが空咳回避が利点 |
まとめ
「-pril」は、
アンジオテンシン変換酵素（ACE）を阻害することで、血圧を下げ、心・腎を保護する薬剤を示す国際命名接尾語です。
副作用として空咳に注意が必要であり、空咳が問題となる場合は「-sartan（ARB）」への変更が検討されます。
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