ザガーロの併用注意
ザガーロ(一般名:デュタステリド)の添付文書に記載されている併用注意:CYP3A4阻害作用を有する薬剤との併用について、以下のように詳しく解説します。
併用注意とは?
「併用注意」とは、特定の薬剤と併用することで薬物の血中濃度や作用が変化する可能性があるため、注意が必要であることを示しています。禁忌(併用してはならない)ほどではないものの、慎重な判断とモニタリングが求められる組み合わせです。
ザガーロとCYP3A4阻害薬の関係
 ザガーロの代謝
 ザガーロの代謝
- デュタステリドは主に肝臓のCYP3A4酵素によって代謝されます。
- CYP3A4は、薬物代謝酵素の中でもっとも重要なサブタイプの1つで、多くの薬剤を代謝します。
 CYP3A4阻害薬とは?
 CYP3A4阻害薬とは?
- CYP3A4の働きを抑える薬剤を指します。
- これらの薬剤が存在すると、CYP3A4で代謝される薬の分解が遅れ、
 → 血中濃度が上昇し、副作用リスクが高くなることがあります。
 代表的なCYP3A4阻害薬(例)
 代表的なCYP3A4阻害薬(例)
| 薬剤名 | 分類・用途 | 
|---|---|
| リトナビル | 抗HIV薬(プロテアーゼ阻害剤) | 
| ケトコナゾール | 抗真菌薬 | 
| エリスロマイシン | マクロライド系抗生物質 | 
| ベラパミル/ジルチアゼム | 高血圧・不整脈治療薬(カルシウム拮抗薬) | 
| グレープフルーツジュース | 食品だがCYP3A4阻害作用あり | 
 併用による影響
 併用による影響
- 上記の薬剤とザガーロを併用すると、
- デュタステリドの血中濃度が上昇
- → 副作用(性機能障害、肝障害、乳房の女性化など)のリスクが高まる可能性があります。
 
添付文書では「血中濃度が上昇する可能性がある」とされていますが、実際にはCYP3A4阻害薬との併用でデュタステリドのAUC(血中薬物濃度の時間的積分値)が数倍になる可能性があります。
臨床的対応
- 併用自体は禁忌ではないが、
- 医師は必要に応じて用量調整や副作用のモニタリング(特に性機能や肝機能)を行う。
 
- 患者には、併用している薬(特にHIV治療薬、抗真菌薬、抗生物質など)を必ず申告させることが重要。
実践的まとめ
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 対象薬剤 | CYP3A4阻害薬(例:リトナビル、ケトコナゾール) | 
| 相互作用の機序 | CYP3A4によるザガーロの代謝が阻害される | 
| 起こりうる影響 | 血中濃度上昇、副作用リスク増加 | 
| 対応 | 併用時の観察強化・用量調整の検討 | 
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